刺身の盛り合わせは加工食品扱いとなり、産地表示の義務がありません

スーパーなどで買った水産物の表示ラベルには魚の名前、産地、養殖か天然かどうかを示す情報が書かれています。品質表示の基準を定めたJAS法により、「正しい名前を表示する」「産地を表示する」「養殖し者や冷凍後解凍したものは、その旨を明記する」などが義務付けられています。

刺身の盛り合わせには産地表示の義務はない

これにより、消費者は水産物についての情報が得られるようになりましたが、まだ不十分な例があります。例えば、解凍された輸入まぐろは、養殖か天然なのか表示する義務はありません。また、カツオ節の削り節のような加工食品の場合、もとのカツオが日本でとれたものか、外国の漁船がとったものなのか分かりません。

JAS法では、輸入される水産物は輸出した国が原産国となるため、とれた場所と原産国が全く違うことも珍しくありません。また、1種類の魚の刺身は生鮮水産物なので産地を表示しますが、刺身やすしの盛り合わせは加工食品扱いとなる上、さまざまな肴が混ざっているため表示方法が難しく、産地の表示義務もありません。

さらに、本来は外国産であるにもかかわらず国産と表示して売られている場合もあります。JAS法では、最も長い生育地を水産物の産地とするため、外国産のものであっても、日本の養殖場に移して、そこで長い間生育させれば、国産という表示になるのです。

問題なのは、輸入した水産物を日本の養殖場に移し、短期間しか生育させてないのに、国産と偽って表示する業者がいることです。これは、違法行為ですが、現状ではしっかり取締りが行われていないこともあり、アサリなどの一部の水産物に誤った表示ラベルが貼られている場合もあります。