減少が激しいマグロ類には国際間で漁獲量などが制限されています

魚の取りすぎによる水産資源の減少が世界的な問題となっており、各国では、自国の資源の減少に歯止めをかけるために、魚の種類ごとに、毎年、とってもよい漁獲量を制限しています。このように、国が漁獲量の上限を定めたものをTAC(総漁獲可能量)といい、この制限の中で行われなければなりません。。

かつての大衆魚も乱獲でいまや贅沢品に

TACを守るための方法には、漁業者どうしが自由競争で魚介類を取り、漁獲量がTACに達したところで操業を止める方法や、漁業者、団体、漁船などに予め漁獲量を割り当てる方法などがあります。

日本では、巻き網、底引き網、さんま棒受け網などといった漁業種別、都道府県別に配分された量をもとに、漁業者や組合などが話しあって漁獲量を管理しています。しかし、全体の漁獲量の上限が決まっていても、漁業者同士で競争する以上、結果的に管理が行き届かず、上限量を超えることも少なくありません。

世界的に資源が減少し、国際間で漁獲量などが制限されている魚介類もあります。その代表がまぐろ類です。世界各海域に国際機関がつくられ、マグロの漁獲量の割り当てなどを決めます。

2007年には、大西洋まぐろ類保存国際条約によって、大西洋でとれるまぐろの総漁獲量が、2010年までに世界全体で約80%に減らされることが決定されました。そのため、日本でとってもいい漁獲量は23%削減され、マグロが食べられなくなるのではないかとマスコミで報道されました。

魚の時期や大きさ、漁法で制限を行う

魚は産卵し、その卵が孵化して稚魚となり、成長していきます。そして親魚になり、また子孫を増やすのです。したがって、成長途中の小さな魚を取りすぎると、親になる魚はいなくなり、数が減ってしまいます。

そのため、産卵や孵化の時期には漁を控えたり、これから大きくなる小型の魚は、仮に網にかかっても海に返したりする取り組みも行われています。例えば宮城県では、全長30cm未満のヒラメ、ホシガレイ、マアナゴなどは県内全域で取らないように規制されています。

さらにコガレイは県内の地域ごとに、とることができる大きさや禁漁期間が細かく決められています。そのほか、ウナギやサケ・マス、アワビなどの貝類、マダコなどについても、禁漁期間を定めたり、とってよい大きさを制限したりし、資源を守っています。

成長していない小さな魚介類を取らないための工夫として、漁具の制限も行われています。広く行われているのは「目合規制」という方法です。網の節(結び目)から節までの長さを目合といいますが、この長さを決め、網目を大きくすることで、小さな魚がかからないようにするものです。