インターネットの普及で流通過程を省いた産地直送販売も人気

日本の回転寿司では安くて美味しい様々な魚を季節に関係なく堪能することができます。これは商社や大手水産会社が、海外から大量に水産物を買い付け、卸売り市場を通すことなく、直接外食チェーンやスーパーなどに販売しているからです。

市場流通のほうが鮮度は上

これら商社などが漁船と直接契約を結び、マグロなどの高級魚の場合は、漁船がとってきた魚を一隻分全て買い取ることも珍しくありません。さらに、買い取ったマグロを自分の会社で解体し、インターネットで直接消費者に販売する水産会社もあります。

また、冷凍魚や養殖魚のようにサイズなどが規格化されていて、目利きの必要がない場合は、卸売市場を通す必要がなくなってきています。このような卸売市場を通さない流通を市場外流通といい、その量は通常の市場流通に匹敵するほどまでになっています。マグロの場合、半分が市場外流通です。

仲卸業者の手数料など、流通段階でかかる様々な費用をカットできるのが、市場外流通を利用する大きなメリットです。最近はこの影響で、卸売市場で水産物を買い付ける仲卸業者が減っています。

一方で、市場外流通が増えると、卸売市場の仲卸業者や小規模の小売店は、水産物を手に入れることが困難になります。そして、市場外流通で価格の安い水産物が大量に出回るようになると、水産物全体の販売価格が下がる可能性があります。

また、日本沿岸でとれる天然魚は鮮度が命であり、市場流通のほうが早く消費者に届くものも多く、市場外流通では対応が難しい面もあります。

苦しい立場にある卸売市場の仲卸業者たちは、協働で新しい会社を作ったり、小売の事業に乗り出したりしています。共同で仕事を行うことで、それぞれがとく意図する専門知識を生かすことができます。また、取引のある小売店を共同で管理したり、小売から販売までを一貫して行うことで、水産物の仕入れ・販売がより効率的に行えます。

インターネットの普及で、生産者などから直接消費者に水産物を売る産地直送販売も行われています。この販売方法では、ホームページなどで消費者が生産者や産地の漁協に直接注文します。

消費者は産地から他の人を通さずに買うことができ、どのような人が生産しているのも分かります。一方、生産者は消費者との間に入る様々な流通過程を省くことが出来るため安い価格での商品提供が可能です。また、安全性や美味しさを消費者に直接アピールすることができます。