産地偽装を防止するためモニタリングや立ち入り調査を実施

水産物は様々な業者や卸売市場を経て、取引されています。種類も多く、異なった産地でとられたものが、消費地の卸売市場に集められるため、店頭に並んでいる水産物の流通経路をさかのぼって、それらがどこから来たのかを知ることは、簡単ではありません。このような点を悪用して、産地を偽った表示が耐えません。

輸入品は検疫所で調べます

国や都道府県では、これらの問題を解決して消費者に正しい情報を伝えるために、モニタリング調査(店頭などの表示調査)や立ち入り調査などによる監視を行っています。

また、養殖漁業者や流通業者が中心となって、商品の情報を伝える仕組みを作ることで、消費者の信頼を得るとともに、商品に新しい価値を持たせる努力も始まっています。

例えば、最近計った肴のラベルなどについている番号をネット上の専用サイトに入力することで、その魚が、いつどこで、誰によって養殖されたのかがわかるような仕組みがつくられています。

このように、食品の情報をさかのぼって調べることが出来ることを、トレーサビリティといいます。トレーサビリティを確立させることで、消費者に対して安心感を与えることができるのをはじめ、食中毒などの事故が起きた際に、問題の食品を迅速に回収したり、原因究明が効率よくできるようになります。

しかし現実には、マグロなど日本人に最も好まれる魚でも、未だにトレーサビリティは導入されていないように、ほとんどの魚種で行われていません。特にイワシやサバのように数が多いもの、マグロのように切り身にするものの追跡は簡単ではないのです。

生産した水産物の流通や販売を他の業者に任せるのではなく、同じ業者が行えば、流通ルートは一つになります。そこで、特定の養殖業者と契約したり、自らが生産から流通、販売までを一貫して管理する取り組みを行うところも出てきました。

輸入水産物の安全を守るのは検疫所の仕事

食品などを輸入する際に、その安全を調べるのは検疫所の仕事です。検疫所では、輸入業者から提出される輸入届出書を元に審査を行い、違反している可能性が高いものについては、指定の検査機関でさらに検査を行います。

また、そのほかのものについても計画的に検査を行い、禁止されている添加物や薬が含まれていないか、食中毒を起こす細菌がいないかなどを調べます。検査の結果、違反が判明した輸入品は、国内で廃棄処分となったり、輸入先に送り返すなどの処置がとられます。

2005年には、加工品を含む水産物3500品以上の検査が行われ、スジコから決められた量を上回る亜硝酸銀という食品添加物が見つかったり、抵当魚介類から大腸菌などの細菌が見つかったりしています。

港や空港に湯注される水産物は、港湾や空港に設置された検疫所で検査を受けますが、輸入量に対して人員が少ないため、検査の体制はまだまだ十分ではありません。