日本の主な漁場は200海里水域内

日本の漁業の中心である沿岸漁業と沖合漁業は、日本の「領海」および「200海里水域」内で行われています。領海とは、沿岸から12海里(約22km)までを地続きの領土とする考えた方で、その沿岸国の所有となります。領海内では外国の漁船が魚をとることは勿論、その国の許可なくして船舶で通行することも禁じられています。

日本の200海里水域

200海里水域は領海を含めて沿岸から200海里(約370km)までの海を指します。この水域は「排他的経済水域」とも呼ばれ、この範囲内にある水産物や鉱物などの天然資源は沿岸国が得る権利があります。つまり、日本の主な漁場はこの範囲内になり、外国の漁船が日本の許可なく漁をすることは禁止されています。

日本の国土は世界的に見ても大きくありませんが、周囲を海に囲まれていることから、200海里水域面積は世界第6位となっています。日本の最南端の島である沖ノ鳥島は、わずか数メートルの非常に小さな島ですが、この島が存在するおかげで日本は約40万kmもの排他的経済水域を確保しています。200海里の排他的経済水域は、国連海洋法条約で定められ、日本は1996年に、この条約の締約国となりました。

各国の領海と200海里水域以外の海は、「公海」と呼ばれます。公海はどの国からも管理を受けることなく、誰もが自由に船で行き来し、国連海洋法条約や漁業の国際条約で定められたルールを守りながら魚をとることができます。日本の遠洋漁業はこの公海のほか、他国の200海里水域内で漁を行っています。

他国の水域内で漁を行う場合、沿岸国の許可を予め得たうえで、入漁料を支払う必要があります。ロシアや韓国など200海里水域が日本と接している場合は、二国間で協定などを取り決めます。

しかし、公海では国連海洋法条約などがあっても、具体的に有効なルールがないので、各国が無制限に魚を取るようになった結果、水産資源が急速に減少して価格の高騰につながっています。そのため、漁獲ろ湯を制限するための国際機関が、資源の減少が著しいマグロなどに関して、インド洋、大西洋や太平洋と言った各地域ごとに、ルールの制定を急いでいます。

日本は沿岸漁業が中心も年間生産量は減少中

海や川などで水産物をとる漁業は、陸から漁場までの距離によって、4つに分けられますが、どれを行うかは基本的に漁船の航行能力で決まります。小型の漁船で海岸近くで行うものが「沿岸漁業」で、海に作ったいけすなどで魚を育てる養殖もここに含まれます。やや離れた沖で中型の漁船で行うものを「沖合漁業」、外国の海や後悔など遠く離れた場所で大型の船で行うものを「遠洋漁業」といいます。さらに川や湖沼などの淡水域で行うものを「内水面漁業」と呼んでいます。

80年代はいわしの豊漁で生産量は大幅増

現在、日本の漁業の中心となっているのは沿岸漁業で、生産額である約9400億円は全体の6割を占めており、漁業者も全体の9割近くが従事しています。一方、インド洋、大西洋、南太平洋、アフリカ近海の公海や外国の200海里水域でまぐろ、かつお、いかなどをとる遠洋漁業は、資源の枯渇や200海里の規制による漁場の現象などによって、生産額や従業者はその数を大きく減らしています。